良性骨嚢腫(単発性骨嚢腫)
骨嚢腫は骨に空洞ができて血液の上澄み液などが溜まってできたもの。
痛みがあって見つかることがあるが、X線検査でたまたま見つかる事もある。
骨の中に嚢腫(黄色の液体の貯留、血液の上澄み液、血清、炎症性タンパク質、非血液 動脈瘤様骨嚢腫との違い)ができ大きくなると骨折します。
空洞の壁は薄い膜でおおわれているので、水を入れた風船が骨の中に入っているようなものを想像するとわかりやすい。
徐々に大きくなるので骨の腫瘍に似ているが、どこにも腫瘍細胞は確認されない。
そのまま放置すると骨の強度が弱くなり、ちょっとしたことで骨折に至る場合もある。
嚢腫部に骨折が起こると、折れた小さい骨片が嚢胞内へ落ちて見えることがあり(CTスキャンで確認できる)特徴的である。
このような場合は、普通の骨折と違い治療が大変難しくなります。
外来で針生検(腫瘍の一部を採取すること)を行い、悪性ではなく良性の診断をつけた後
骨内から嚢腫を除去して、骨内に人工骨(β-TCP β型リン酸三カルシウム)やハイドロキシアパタイト、骨セメントを充填して金属で骨折部を固定する手術をおこなったりします。
骨折によって、内部の圧力が低下すると骨が自然にできてくることもあります。
骨折の危険性があるものは、骨の表面に窓を開けて掻爬(骨の中にある腫瘍を掻き出す)を行い人工骨(β-TCP )を移植する。
または、中空のピンを留置して減圧する方法もあります。
動脈瘤様骨嚢腫(どうみゃくりゅうようこつのうしゅ、ABC)との違いに注意
骨嚢腫 診療実績
原因
骨における血流障害が発症のきっかけになるという考えもある。血液が障害されることで骨が吸収され(すなわち嚢胞が形成される)、炎症性タンパク質が嚢胞内に蓄積するとも考えられています。
骨嚢腫 個人ブログとYoutube
入院日程
検査
レントゲン
骨にある病変部が通常よりも透けて見えることがわかる
血液検査
血液造影
CT
嚢腫部に骨折が起こると、折れた小さい骨片が嚢胞内へ落ちて見えることがあり、CT検査では、この骨片が嚢胞内にあるのが確認される。
CT下針生検
CTスキャンを撮影しながら病巣部に特殊な針を刺し、病理検査に提出するための腫瘍組織を採取する
MRI
MRIでは、骨嚢腫は骨内の液体として映る
嚢腫の性情をより詳細に評価することが可能。例えば、内容物の性質と状態
嚢胞の数、周囲の骨への侵襲の程度など。
造形MRI
造形剤を注射した後に行う、これによってより詳しい情報が得られる。
核医学検査 タリウムシンチグラフィー
良性、悪性の判断の一つとなる。全身への拡がりについて調べる。抗がん剤の効果判定にも行う。
針生検
CT MRIでも よくわからない時は、局部麻酔を用いて、実際に組織を採取する針生検を検討する。
針生検が不可能な場合は全身麻酔を施し切開生検を行い、いずれも採取した細胞の病理検査を行う。
手術
手術は麻酔科医による全身麻酔 プロポフォールを使います。
一番軽い治療は、皮膚の上から鋼線(キルシュナー鋼線)を刺して、骨嚢腫の壁に複数の穴を空けて
骨の空洞内に炎症を抑える白濁したステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)を注入する方法もある。また嚢胞内の液体成分を排除し内圧を下げる処置を行う。
しかし、一般的には空洞内の掻爬に加えて、β-TCPやハイドロキシアパタイトなどの人工骨移植を用いた手術が行われることが多い。
または、小切開で骨の嚢腫の壁に中空のドリルを入れる方法もある。
また嚢胞内の液体成分を排除し内圧を下げる処置を行う(ドレーン管を設置)。
これらの方法で、多くの場合は骨嚢腫内に十分な骨が形成される。もし骨形成が十分でなかったり、
一度良くなったのが嚢腫が広がった場合でも、ステロイド薬の注入などは傷をつけることなく可能ですから
繰り返し行って様子を見ることができる。
どうしてもうまく行かない場合には、手術で嚢腫壁を適切な範囲で削り、なかの膜状構造物をすべてとり人工骨を移植する。
こういった手術の後でも、再発したり、嚢腫が残ったりする場合があるので、2年間は整形外科医による経過観察が必要となる。
・ステロイド注入療法
・掻爬・人工骨充填法(α-TCP β-TCP ハイドロキシアパタイト 骨セメント)
骨セメント
骨セメントはポリメチルメタクリレート(PMAA)から成り、手術中に粉末のポリマーと液体のモノマーを混合させて使用します。
混合後、約10分から20分で硬化したセメントになります。使用する際は、骨セメントを十分に混和して、適した粘度になるまで注入しないようにする。
セメントが骨の中に入って固まる際、約70℃の熱を20分間ほど発し、その熱によって骨セメントを注入した付近の腫瘍細胞などが死滅します。
骨セメントはアクリル樹脂の一種で、もともと歯科治療で使用されていたものを人工関節の固定や、人工骨の代わりに使われるようになりました。
人工関節置換術に用いる骨セメントに耐熱性のゲンタマイシン(抗菌薬)を含有した骨セメントも使われている
骨セメントは人工関節置換術では最近、使用頻度が低下しているが、人工膝関節ではよく使用される
デメリット
セメントが骨の外に漏れて静脈に流れ込むと肺塞栓症(はいそくせんしょう)を引き起こしたり、神経に流れると脊髄障害をおこしたりすることもあります。
骨セメントの使用部位の周囲の血管中に脂肪塊が生じ、これが心臓や肺に運ばれ塞栓が生じる可能性がある。
骨セメントが重合する際の発熱が刺激になる
血圧低下 アレルギーショック 心機能の低下 不整脈の発生
巨骨細胞腫の場合は、腫瘍の活動性が高いため、単純に腫瘍の掻爬だけでは再発の可能性が高いため腫瘍の掻爬後、サージエアトームで腫瘍の骨を採掘し、さらに腫瘍を掻爬する。その後、エタノールやフェノールを用いて周囲骨を処理し残存腫瘍細胞を死滅させる。
人工骨(リン酸カルシウム系骨セメント)
β-TCP(β型リン酸三カルシウム)とハイドロキシアパタイト どちらがより良いか
以前の人工骨であるハイドロキシアパタイトは、骨内で吸収置換されず、異物として永久に体内に残存してしまう。
β-TCP多孔体は、徐々に自分の骨として吸収され置き換わる(リモデリング)という人工骨補填材料として理想的な性質を兼ね備えている
α-TCPは骨吸収性が低く、骨欠損部に処置した初期(硬化後数週間)の細胞接着性は極めて低い
参考
腓骨の骨嚢腫の場合は腓骨神経麻痺の可能性も
膝の下外側にある腓骨頭の後方を走る腓骨神経が、同部近くで絞扼されておこる絞扼性神経障害(こうやくせいしんけいしょうがい)
総腓骨神経麻痺では、下垂足や鶏歩がみられることがあります。深腓骨神経麻痺、浅腓骨神経麻痺
最近では、腓骨神経の縫合術もあるようですが、まだまだ実施例が少ないようです。
下垂足(かすいそく、 垂れ足 たれあし)
前脛骨筋などの筋力低下や筋萎縮により、足関節の背屈(はいくつ)障害、底屈(ていくつ)障害をきたします
下垂足になると、靴下をうまく履けませんし、靴も履きにくくなります。
車を運転する時に、右足でアクセルやブレーキを踏むことができなくなります。
また、スリッパやサンダルも、歩いているうちに脱げてしまいます。
走ることもできず、正座もできず、和式トイレの使用もできません。
常に、松葉づえを必要とします。
鶏歩(けいほ)
下垂足でつま先が地面に引っかかるのを避けるために、ニワトリのように膝を高く上げて歩きます。
腓骨神経麻痺検査・診断
神経伝達(導)速度検査、超音波検査、MRI、筋電図検査、Tinel(チネル)サインにより腓骨神経麻痺を診断します。
素手で人体の主要な筋肉の筋力を判定する徒手筋力検査もあります。
神経伝導速度により、膝の外側で神経の電気が流れるスピードが遅くなっていることが確認できます。
筋電図検査では総腓骨神経が支配している部位の筋肉にしっかり電気刺激が伝わっているか調べます。
腓骨神経麻痺はレントゲンやCT、MRIなどの画像による診断ができません。
筋電図検査は神経がつながっているかの検査
腓骨神経麻痺治療
保存療法として リリカ、メチコバール、ノイロトロピンなどのビタミンB12の薬を処方
装具療法
下垂足のまま歩いた場合、転倒したり、捻挫をしてしまうリスクが高まります。
そこで、足関節用装具などを装着するという方法が取られることもあるそうです。
装具としては、オルトップと呼ばれるプラスチック製のものが多く使用されるそうです。
運動療法
足首から先のつま先を上に上げる動作(足関節背屈)、足指を上に反らす動作(MTP関節背屈)を行います。
ストレッチ
電気療法
薬物療法
物理療法(渦流浴・アイシング)
主に電気療法(低周波治療)が用いられます。
目的としては、痛みの除去や、筋収縮の誘発、感覚の入力などになります。
麻痺している部分にセッティングし、電気を流すことになります。
手術療法(外科的治療)
神経縫合 神経剥離 神経移植 人工神経 腱移行手術
場合によっては、神経内科、神経外科
神経損傷がある場合は、神経移植
筋肉の障害が強いものに対しては腱移行手術
手術にはいろいろありますが、局所麻酔で腓骨頭の近く3cm程切って治療したりします。
神経線維の伸びる速さは、最大でも1日に1mm程度と言われているので、30cm伸びるのには
300日かかる計算になります。
ボツリヌス療法などもあります。
先進医療
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